昨日、お東陽先生の映画を撮られたディーケープロダクションの工藤監督にお話しをうかがってまいりました。
まずはメールのやり取りをさせていただいた狩野さんにご挨拶をし、事務所のある一室にお邪魔しますと、いらっしゃいました工藤監督。
ああどうも、お忙しい中お邪魔しまして、いやいやこちらこそ、遠かったでしょうなんていうごく普通のやり取り。よかった、優しそうな方で。
僕は、映画監督とか芸術家の人って、なんだか怖いイメージがありまして。
もっとこう、「お前なんかに俺の映画の何がわかんの? あん?」とか、「おい、ねじりん棒を食らわせてやれ(byあしたのジョー)」とか、手ひどい目に合う可能性も考慮に入れていたのですが(あまりにも失礼)、ぜんぜん、そんなことありませんでした。
さてさて、では、ダーティ工藤こと、工藤監督インタビューのはじまりでございます。
スズキ(以下ス):まずは、お東陽先生と知り合ったきっかけを教えていただけますか。
工藤監督(以下、工藤):初めは、知人からの紹介だったんですよ。東陽片岡さんという個性的な漫画家がいるから映画にしよう、って言ったのも別の人。
でも、なんだかんだ言って難航したり消えかけたりして、最終的に私がやることになったと。
だから、計画当初から実際の撮影までは何年もかかりました。東陽さんはのんびりしていて、気にしていなかったようですけどね。
工藤監督と「東陽片岡のカク!」パンフレット
ス:前作「東陽片岡のカク!」や今作「東陽片岡のあま〜い生活(仮)」とは、どんな映画なのですか?
工藤:もう、東陽さんのキャラクターをそのまま映す、という感じですね。
彼はああ見えてなかなかの演技派で、カメラを向けられても不自然でない、いつもどおりの東陽片岡を演じられるんですよ。だから、作り物ではない東陽片岡本来の生活が感じられると思います。撮影場所も、彼の部屋ですしね。
お東陽先生が漫画サンデー連載に描いた、撮影の様子
ス:監督から見た、お東陽先生の魅力とはどんなところですか?
工藤:「愛すべき」って表現は好きじゃないのだけど、そんな感じかなあ。
ちょっとくらい変なことがあっても、しょうがねえな、みたいな。
ス:「しょうがねえな」って表現はいいですねー。憎めない人ということですね。
工藤:うん。逆に東陽さんも、他の人が予定を遅らせても平気だしね。のんびりというか、自分のペースを崩さない。
だから、どんなに忙しくても、定期的に風俗に行くのをやめないみたいだし。悪気なく締め切りを破っちゃうこともあるらしい。
(衝撃のお言葉。花村萬月先生に続いて、工藤監督もお東陽先生の締め切り破りについて言及されました。ええと、ほら、あれですよ。お東陽先生は納期よりクオリティを優先するゲージュツ家なのです。たぶん)
工藤:そういえば、スズキさんとこのTシャツって、あれ、いつ出すんですか。
ス:あ、気にかけていただいてありがとうございます。いま監督のおっしゃったとおりで、こちらの締め切りも遅れております。昨日、「そろそろどうですか?」ってFAXしてみましたが。
工藤:まだまだ遅れると思いますよ。
ス:・・・奇遇ですね。僕もそう思います。
ス:東陽片岡ファンの方々へメッセージをいただけますか?
工藤:メッセージというわけじゃないけど、東陽片岡ファンというのは、ある一線を越えてきた人たちって感じはするね。
あの絵をひと目見たときにはギョッとするだろうけど、だんだん好きになる。ファンとして調教されてゆくっていうのかな。
内容も味があるしね。東陽片岡という人のキャラクターや生活が作風とよく合っているから。本当はおしゃれな生活をしている人が、想像や勉強で書いているわけじゃない。本人そのまま。
ス:そうですね。僕、漫画家さんって結構儲かると聞いていたんで、実はすごいセレブな生活していたらイメージ崩れるなと心配していたんですが。実際に会ったら安心しました(失礼)。
工藤:だねえ。それにあの作風だと、背景や畳の目をアシスタントに書かせるというわけにはいかないからね。大量生産できない。
ス:大量生産のイメージといえば、本宮ひ(自粛)
お東陽先生が撮影時に描いたという、先生理想の「興奮するネタ」
ス:最後に、映画の公開はいつなのですか?
工藤:いや、まだ決まってないんですよ。いくつかの映画館にフィルムを送ってはあるんですけどね。あとは先方が気に入るかどうか。
ス:へえー、僕は映画について詳しくないのですが、そういうものなのですねえ。
工藤:大きい会社とかは違うでしょうけどね(笑)。うちはこういう感じです。
ス:では、会場や日時が決まられたらお教えください。楽しみにしています。
それから、前作「東陽片岡のカク!」のビデオ、DVD化はありませんか?
工藤:公開日時はいつになるかわかりませんが、決まったら皆さんにお知らせします。
また、「東陽片岡のカク!」DVD化も、「あま〜い生活」の公開が決まったら、合わせて行いたいと思います。
東陽片岡ファンの人たちにはぜひ見てもらいたいので、楽しみにしていてください。
ス:本日はどうもありがとうございました。
以上、簡単でしたが、工藤監督インタビューをお知らせいたしました。
勝手な印象ですが、工藤監督もお東陽先生と同じく、トンがったセンスを持っていながらも僕みたいな若造に丁寧にしてくださり、ええ人やなあ、と思いました。
花村萬月先生をはじめ、当ブログ宛てにメールを下さる皆さんも、有名人も一般の人も個性的ながら(変わった方が多いです。いい意味でですよ)、良い方ばかりです。
そういう方々だからこそ、お東陽作品に惹きつけられるのかもしれません。根拠なく書いてますが。
ともあれ、まだ公開時期も映画館も決まっていない東陽片岡映画。もし、もしも映画館を持っている人がいたら(普通いない)、ぜひスズキかディーケープロダクション様までご連絡を。
未発表・幻の作品などとなりませんよう、なにとぞ、なにとぞよしなに。
えっ?(失礼)
戦前風味の杉浦幸雄なんかに近い。
将来ブレイクするかも。しないかも。
お東陽先生も「身内に見られたらどうしようと思いつつ出してしまった」とおっしゃっているようですから、さすがに平気ではないようです(笑)。
お東陽先生との一夜、熱かったですか?
>砂野さん
ブレイクさせようと仕掛ければ、するかも。
でもしないでほしいかも。というようなことを、工藤監督もおっしゃっていました。
一部で人気、というポジションを守らせたくなる方ですよね。
僕がこんなこと言っていいのかどうかわかりませんが。