2006年03月12日

大人におすすめ 漫画「トモネン」

スズキです。

先日、書店でお東陽先生コーナー(僕の勝手な呼称。要はなんといいますか、マイナーっぽい漫画が集められた場所)をぼーっと見ておりましたら、目に飛び込んできたすてきな表紙。



ほのぼのとした絵と、木をイメージさせるカバー素材。いいなあこれ。
というわけで、表紙だけで判断して買ってきました「トモネン」。
でも、中身は表紙以上でした。

内容は、作者が同人誌として発行していた作品に書き下ろしを加えた短編集で、表題を含めた6作品+おまけが収録されています。

表題作「トモネン」は、現代日本風の世界を舞台に、魔法使い見習いの少女と3人の子供たちの触れ合いを描く作品・・・とか言うと大げさなんですが、魔法はちょっとしたエッセンスにすぎず、基本的に4人の子供が仲良くバタバタすると。で、たくさんの笑いとちょっとした感動があると。ええ。
説明になってないですが。


特に気に入ったのは、ひとコマにぎゅっと詰め込まれたテンポのよい会話です。

この方の漫画は大抵、ボケとツッコミなどがひとつのコマに収まっていて、しかもセリフが長いのですわ。

でも、これが読みづらくない。むしろ爽快。
手抜きやミスで長ゼリフを詰め込んでしまったのではなくて、ツッコミやボケをより強調するために長文を用いているのです・・・たぶん(自信持てよ)。

トモネン ボケ&ツッコミ
魔法がなくてもどうにかなってしまう程度の「魔女子さん」の魔法。ひとコマでトントンとツッ込まれています。いぶかしげな真ん中の子もかわいい(クリックで拡大します)


また、一歩間違えれば説明口調とも取られてしまうような平易な台詞は、作品の雰囲気づくりにも一役買っているわけです。

これ、同人誌で始めてよかったですねえ。
漫画が好きじゃない編集者とかが、型どおりに「セリフ長すぎだよ」「話しているキャラクターはこっち側に配置しないと」なんて手直ししたら台無しになるところでした。
それくらい繊細というか、いい意味で計算された作品だと思います。おいちゃん気に入っちゃったよ。
理解ある人に出会って、発刊となったのでしょうねえ。えがったえがった。



詳しい内容については読んでくださいとしか言えませんが、目安として、収録されている作品は2つのテーマに分かれています・・・ようです(自信持て)。

ひとつは前半の「トモネン」「リサとガス」「帰り道と100円玉」のように、テンポの良い会話とほのぼの感を前面に出した作品。
もう一方は後半の「Go Girl」「リーザの左手」「よーこちゃん」のように、自分と他者との間にある壁や孤独を意識した子供たちの成長物語。シリアスです。


どちらも魅力的なのですけど、僕の好みで言えば、前半のほのぼの漫画のがおすすめ。
失礼に聞こえるかも知れませんが、後半のシリアス漫画は、他の人でもマネくらいはできます。少なくとも、できるかもしれない。でも、人を温かい気持ちにさせる作品というのは、なかなか真似できません。温かみを与えられる人というのは、すごい人です・・・よね?

もちろん、どちらの作風も楽しめること請け合いですけどね。
少年時代の楽しいところと、悩みを抱えた部分とをくっきりとより分けて、別々に味あわせてくれる短編集です。

お東陽先生とは別の意味で、大人が読んでこそ楽しめる作品なのではないでしょうか。懐かしさを覚えたり、しみじみしたりして。

こんなに純粋な少年たちが、成長すろと東陽作品のおっさんおばちゃんになるのかと考えると不思議な気持ちです。ドアもない立ち飲み屋でホッピー飲んだりね。人間ってすごいですね。

さておきまして、「よつばと!」以来の、老若男女問わずにお勧めしたい漫画です。
皆さまもぜひぜひ。


追伸:
いつも思うんですが、ブログってこんな長文でいいんですかね。
posted by スズキ at 06:26| Comment(3) | TrackBack(0) | おすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あはは、お東陽先生コーナーですか。
そういうところにある漫画のほうが俺は好きです。
「トモネン」面白そうですね。
絵と内容のギャップいい感じです。

スズキさんのブログのようにいつも面白ければ、どれだけ長くてもオッケーと言うことでしょうね。
Posted by バリュー at 2006年03月12日 14:05
面白そうな漫画を見つけてくるのがうまいですねぇ。お東陽先生っぽいコーナーはちぇっくしておかなければならないですね。

Posted by ザクロ at 2006年03月13日 06:23
>バリューさん
トモネンおすすめですよー。
そいから、過分なお言葉、恐縮です。壁があったら頭をぶつけたい。

>ザクロさん
今回はたまたま漫画が充実した書店に行ったのもよかったです。うちの近くには大きな書店がないので、たまに出張らなければならんですよ。
要ちぇっくです。
Posted by スズキ at 2006年03月13日 12:35
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