ダッダッダッ……(走る音)
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「捕まえたぞ、こいつめ!」
「うわぁっ!」
「こいつか! サッカーに夢中になっていないという犯罪者は!」
「ゆ、許してください!」
「身分証をよこせ! ……なになに……スズキ、か……職業はライター……うさんくせえ野郎だ。非サッカーファンにふさわしいぜ」
スズキ(以下ス)「ぼ、僕は決してそんな……!」
「んあ〜? じゃあお前、サッカー日本代表を誰か挙げてみろ」
ス「さ、サッカー選手……? や、柳沢……?(本気)」
「……ククク、お前なりに頭を捻ったんだろうが、残念だったな」
ス「えっ!? ち、違いました!?」
「ちなみに、その柳沢のフルネームだけでも言ってみろ」
ス「えっ……? えーと、や、柳沢……」
「ふむふむ」
ス「し、慎吾……」
「ぜんぜん違うわ、この外道が!」
ガッ!(蹴り)
ス「うああっ!」
「(チャッ)脳天に風穴を開けられたくなかったら、急いで他のサッカー選手の名を言うんだな」
ス「え、えーと……アルシンド……柱谷……」
「古すぎる! 今の代表を応援しろと言っているだろうが!」
「……お前、いくらなんでも本田くらいは知っているんだろうな?」
ス「あ、はい! 知ってます! 本田泰人ですよね!? 元アントラーズの!(真剣)」
「……貴様はいつの人間だっ!」
ドゴッ(蹴り)
「……おい! ゲバ棒持って来い! 総括してやる!」
ス「……そ、そんな! もう勘弁してください!」
「うるさい! サッカーファン以外は人間にあらず!」
ス「そ、そんなこと言ったって、あなたたち、この間まではフィギュアスケートだ世界卓球だって……ぜんぜんサッカー一筋じゃないじゃないですか! どうしてそんなにホイホイ移り変われるんですか?」
「え、ええい、うるさい! 逆らうか!」
ドカッ、バキッ、ドゴッ……。
「サッカーを応援する俺たちは12人目の選手なのだ! 貴様のような一般人とは身分が違うのだ!」
ス「え、12人目の選手って、具体的にはなにを……?」
「まだ逆らうかっ!」
ゲシッ!
ス「ぐはぁっ! う、ううぅ……どうして、どうしてこんな目に……日本はいつからこんなに自由のない国になってしまったんだ!」
「ええい、まだ言うか!」
ドゴォッ!
ス「ぐわぁっ!(ドサッ)」
「ふん、気を失ったか……いいか、次にツラを見せるときにはサッカーファンになっておけ!」
「ついでに、次までにワルシャワ労働歌も覚えておけ、この糞が! 貴様など、サッカー応援という大義を生かすための駒にすぎんのだ!」
ス「うっ、うぅぅ……どうして……いつの間に世の中はこんなことに……僕の知らない間に、どこかで洗脳講習会でもあったというのか……?」
ス「いつの日か、我が国でもサッカーを見ない自由が許されますように……自由がやってきますように……」
というわけで、こんにちは、スズキです(前置き長ーい)。
いやー、盛り上がってますね、世の中。
もちろん、もちろんスズキも社会の一員としてノっておりますですよ。
ですから言うまでもなく上記のお話はフィクションであり、スズキの趣味や思想とはまったく関係がございません。ございません。
スズキはサッカー好きですよ。応援してますよ。へへへ(卑屈な笑み)。
がんばれ! ブルーサムライ! ……いや、ジャパンサムライ? ブルージャパン? ……とにかくそんな感じの愛称の日本代表の皆さん、応援しています!
12人目の選手と言われるサポーターの皆さんもがんばって! スズキは門外漢なのでよくわからないですが、12人目の選手ってくらいですし、なんだかすごく泣いたり叫んだりされているので、見えないところですごいお仕事をされているのでしょうね。
とにかくがんばれー! オーレーオレオレオレー(精一杯のサッカー応援知識)。
トリプルルッツ、成功するといいですね!