突然ですが皆さん、耳かきはされているでしょうか。僕は結構耳かきというやつが好きでして、気がつくとショリショリとやっております。
ただ、たびたびやってしまうせいでそれほど大漁にはなりませんで。
たまには「おお、こんな大物が」という感動を味わいたいわけですが、そのためにはしばらく放置しなければならない。
耳かきが好きであるがゆえに大物に出会えないというジレンマがあるわけです。
まあ、そんなことは置いておきまして、本日お勧めしたい漫画が、「耳かきお蝶」でございます。
作品の舞台は江戸時代、天保の世。主人公はタイトル通り、耳かきを生業とするお蝶という女性でありまして。
すごく簡単にご説明しちゃいますと、お蝶は卓越した耳かき技術を持っており、彼女にかかれば体調も良くなりゃ悩みも吹っ飛ぶ、というわけで、毎回、人間関係や仕事に問題を抱えた人々が救われていく物語です。
これがですね、すごく気楽に見られて面白いのです。生活の描写が丁寧だなあと思わされる一方で、「この時代、テレビもパソコンもないからねェ」なんて台詞をポロッと言っちゃったりして、いい意味で肩の力が抜けております。
登場人物たちはお蝶の耳かきによって良い気分を味わいますが、読んでいる僕もリラックスできるという素敵な構造。
絵もまた魅力的です。女性の顔かたちはうりざね型っぽいのですが不思議な色気を放っておりまして、素直に「きれいだなあ」と思いつつ見られます。
もちろん、色気といってもアダルトな描写という意味ではないので、老若男女ともにお楽しみいただけます。
全体としても、普段、漫画を読まないという方にも楽しめる作品だと感じておりますので、ここまでお読みくださった皆さまは、騙されたと思ってお読みいただきたいなあと思っております。かなりお勧めですよ。
耳かきでなんでも解決なんて都合が良すぎる、なんておっしゃらず、気楽に気楽にご一読を。そんで語り合いましょう。耳かきお蝶について話せる相手がほしい。日向の旦那の魅力とか。
余談ですが、作者の湯浅ヒトシさんは僕が毎月買っているコミックビームでも不定期連載を開始されています。
こちらは耳かきお蝶とは違い、腕が立ち、気が強すぎるがゆえに女としての幸せに収まりきれない女剣士が悩むという固い作品。今のところ1話だけで、次はいつ掲載されるか不明ですけれど、とても楽しみなのであります。
ほいでは、またー。
余談その2。僕は表紙の絵より、中身のほうが好きです。もちろん嫌いではないですけれど、きれいすぎてなんかちょっとテイストが違う。
表紙は黄桜のカッパの絵みたい。
色を塗ると作風が変わっちゃう方なのでしょうか。