こないだ近所を歩いておりましたら、居酒屋の前にでかでかと書かれたメニューが。
赤く大きな文字になんとなく目をやりますと、その中のひとつに「カツフライ」というものがありました。
カツフライ!?
確かに時折聞かれる、庶民的な料理を連想させる言葉ではありますが、考えてみると妙です。
カツとフライには料理法の違いや語源により、意味合いが微妙に異なるって話があります。ありますが、それにしたって重なるのはおかしいだろうと。
例えばトンカツ。これはOK。豚肉に衣を付けて揚げました。
次はエビフライ。これもOK。エビをフライ(揚げ)しました。
で、カツフライ。カツとフライがトゥギャザーしちゃってます。
普通は、「食材+調理(揚げ)方法」で決まるはずだった名前が、調理方法だけで合体。
カツを……さらに揚げる? 黒こげな感じ? それとも二重の衣? そもそも何をカツにしてフライしたのか。芯は何? 天かす?
この調子だと、余った材料を使った裏メニュー「トンエビ」とか出てくるのではないでしょうか。生の豚肉とエビがごろりと重なってるだけ。
別の例ですと、「ネギを切ります」これはOK。「ネギを刻みます」もOK。「切る」とはまた出来上がりが変わりますよね。
でも、「ネギを切り刻みます」と言うと、なんだか残酷感アップ。料理のためというより、ネギに恨みがあるように感じてしまいます。
類似用語を重ねるとどこか妙になりますね。やはりカツフライ、揚げすぎ。
・・・まあ、実際のところは安手のトンカツとか、そういうものなのだと思いますけどね、カツフライ。あとは鯨とか?
なんにせよ、こう、外来語への適当感たっぷりの素敵な言葉だと思います。カツフライ。
チャーハンをおかずに白米を食べるみたいなパワーも感じますし。
僕はお酒を飲まないのであまり居酒屋には行かないのですが、一度大声で頼んでみたいものです。カツフライ。
そういや以前、どっかの中華屋(なのにカレーや蕎麦もやっている大衆食堂)で、明らかに「カシカレー」と書いてあるものを頼んだことがあるのですが、出てきたのはカツカレーでした。
僕は発音せずに「これをお願いします」とメニュー指差したのになあ。
菓子が乗ったカレーが出てくるのではないかと、ほんの0.1パーセントほどの期待をしたものです。
まあ全体的にどうでもいい話なんですが、こういう適当感たっぷりの世界も残り続けてほしいなあと思うのでありました。
それではまたー。カツフライ(お気に入り)。
メンチフライとかもあるのかなぁ。