ご存知の方は今さらと思われる、日本のファンタジー漫画の代表格であります。いや、誰が言ったでもないですが、今決めました。異論があったらごめんなさい。
で、さっそくですが、ベルセルクと言えばそのハードな世界設定と表現力。
ストーリーは、かつての友の裏切りにより、自らの右目と左手、さらには恋人の正気まで奪われた剣士「ガッツ」が、異形の魔物たちに復讐を挑むというものです。
ここだけ読むと残酷さばかりが強調されたお話と思われてしまいそうですが、本編でのガッツの壮絶な過去や痛快な戦いぶりをご覧になれば、単なる残酷お涙頂戴ではないことはご理解いただけるかと。
自らの身長をも越える巨大な剣を振り回し、人の身ではかなわぬはずの魔物を打ち破るガッツ。そのアクションは常人の域を超えていますが、代償として自身も苦しみ、血を流している姿からは人間の弱さ、はかなさが感じられます。
また、連載前半の「黄金時代編」の存在も、ベルセルクの世界設定に厚みを持たせています。要は、少年ガッツはどのような経緯で魔物と遭遇し、激しい復讐心を抱くようになったのかという過去の話なのですが、これがたっぷりと時間をかけた丁寧な作りで、彼の強すぎる闘志や怒りに納得できる裏づけを与えているのです。
一般に、漫画で長い回想編が始まると「うわー、回想はいいから早く本編に戻ってよう」「時間稼ぎに出たなあ」と、あまり良い印象は持てないのですが、ベルセルクの黄金時代編は、作品にとっての必要性や説得力を感じます。
もうベタ褒め。なんだか恥ずかしい。すみませんです。
さて、戦いを通じて仲間や新しい武具を手に入れていくガッツですが、まだまだ魔物に勝てそうな目処は立っておりません。相手ときたら、人間では触れることもできないような存在なんですもの。
数多くある漫画の中でも、敵との力の差がかなり開いている作品なのではないでしょうか。ガッツは本当に敵に立ち向かえるのか。戦いの果てに最後に迎えるのは悲劇かハッピーエンドか、今後の展開に期待したいと思います。
そいから、主人公が悲壮な戦いを繰り広げている分、旅に同行する妖精の「パック」や少年泥棒「イシドロ」などが繰り広げるかけ合いにはほっとさせられます。彼らの存在は読者のための息抜きというばかりではなく、復讐心のために人としての心を失いそうになるガッツにとっても救いになっているようです。
仲間たちは、ガッツが人間性を保ったまま戦いを終えられるのかというテーマにも深く関わってきそうですね。
話は尽きませんが、ご興味を持たれた方はまず黄金時代編の前半、5巻あたりまでを読まれてみてはいかがでしょうか。さすれば恐らく、続きも読みたくなってしまうことと思いますです。
ちなみに、脇役に出てくる兵士の鎧兜とかがいい意味でかっこ悪くて好きです。漫画的じゃなく、リアルな装備。ここらへんもぜひご注目を。
ではでは、失礼いたします。